分業のメリットについて確認しておきましょう。まず社内に存在する様々な業務を挙げてみましょう。
発注、納品(検品)、支払、保管、受注、出庫(検品)、検収(売上先)、請求、入金確認、など・・・。
たくさんありますよね。
これだけの作業を仮に一人で全て行う場合、一つの作業を終了し、次の作業を実施する度ごとに次の作業の準備をしなければなりません。作業ごとに段取り時間をとられますから、分業した時に比べて全ての作業を終了するまでの総作業時間がより多くかかってしまうことになります。
また一人で全ての作業を行う場合、それぞれの作業に慣れるまでにたくさんの時間が必要です。同一の作業をより短時間にかつ正確に実施するには作業の繰り返しによって「熟練」
の域に達することが必要です。分業することで、一人で作業する場合に比べてより速く「熟練」に達することができます。
また、「熟練」を手に入れる過程でなされる創意工夫により、ユニークな作業道具、作業手法が生み出される可能性があります。これらの作業道具や作業手法が、まさに「ノウハウ」であり、同業他社は持っていませんから、あなたの会社に競争優位をもたらすことになります。
社内に分業体制を構築できたならば、その業務の全てを自社で行う必要はありません。業務のアウトソースをすることで、利益を得られます。
どんな企業でも、自社だけでは、それほど多くの量が発生しない業務があるはずです。そうした業務を行う専門業者があれば、そこに業務委託することで利益を得られることがあります。分業された作業が、既に一つの社内業務として鎖のように前後の業務とつながる体制を整えられているのであれば、作業それ自体を社外に出すことに不都合はまったくありません。
注意点は、アウトソースした先がその作業に十分「熟練」していてこちらの要求レベルを満たす作業「ノウハウ」を有しているかどうかにあります。
つまり自社の分業体制とフィットして、うまく業務をつなげられなければ、アウトソースするメリットはありません。
こうした点に留意すれば、自社で行うより、質の高い作業を、より安いコストで手に入れられるのです。