【分業した作業のレベルと釣り合う人材をあてはめる】
分業のメカニズムは、専門化と機能(能力)分化にあることに以前触れました。さて、分業がなされた時には、一人一人の担当範囲が明確になっているはずです。また、仕事内容がかなり具体的になっていることでしょうから、作業の難易度、重要性が判断できるのではないでしょうか。
すると、課業の際には、従業員の能力に応じて、仕事を割り当てることになります。仕事をやり遂げるためにその従業員が最適かどうかはわからなくても、大まかな特性を把握したうえで、割り当てを行います。もし、能力が要件を充足しないようであれば、教育が必要です。
これで、能力、仕事、教育の必要性が一本につながります。何となく、「みんなで仕事をしている」というスタンスではこの関係は見えてきません。それでは、誰が重い仕事を担っていて、誰が力不足で、どんな教育をしなければならないかということが分かりません。
人事制度の考え方は、近年批判されている成果給の考えを取らなくても、重要な仕事をしている人、そしてその出来栄えに対してお金を払うという能力給の考え方を取ることができます。実は、この考え方は、ずっと日本企業がとってきた方法であり、分業を意識することによって、より洗練された形で導入することができるのです。