【自立型人材をたくさん輩出できる体制を作る】

経営者の共通の悩みとして、従業員がもっと考えて仕事をしてくれたらいいのに、指示待ちではなく自分から仕事をしてくれたらいいのに、というものがあります。

指示待ちの人材に対して、こうした理想的な人たちを自立型人材と呼ぶとしましょう。こうした人材は、仕事に対するモチベーションが高い人たちです。ただし、すべてが資質というわけではありません。

モチベーションが高い人材の芽を、摘んでしまう組織になっていませんか? まず、責任の範囲が明確になっていることが重要です。役割や責任を曖昧なままにしておくと、「誰かがやってくれるだろう」という甘い期待が生じます。しかし、一定範囲の責任が割り当てられると、「自分がこなさなければならない」という使命感が生じます。

次に、調達から販売までの作業工程を、従業員に理解してもらう必要があります。何のためにこうするかと言うと、仕事の目的を共有するためです。たとえば、「顧客に商品を届けるために仕事をしている」のと、「目の前の書類に書き込むこと」とでは重みが違います。自分の仕事がどのように価値になっているかということを自覚してもらうことが仕事へのモチベーションを高めます。

最後に、理念を共有することです。会社の理念、というと、壮大なものを想像してしまいますが、たとえば「お客さんに喜んでもらうことを第一に考える」「とにかく良いものを作る」という考えも立派な理念です。理念が共有されていれば、何を大切にするかという優先順位がはっきりするので、取るべき行動が明確になります。細かい指示をしなくても、理念を実現するためにはどういう方法を取ったらいいだろうか、と考えられるようになります。